腎生検を受けるため入院した話(やや閲覧注意)

何年か前に腎生検を受けたのですが、ふと思い出したので備忘録を兼ねてブログに書いてみようと思いました。記憶があやふやな部分もあるので、そのあたりはご了承下さい。

 

腎臓の不調を指摘されたのは中学生の頃でした。学校検診の尿検査に引っ掛かったのです。蛋白が少しと、大量の潜血が出ていました。

その後、近所の泌尿器科にかかりつつ経過を見ていたのですが、数年経っても症状は消えず、ついに慢性腎炎の疑いがかかりました。

 
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慢性腎炎にはいくつか種類があるのですが、その中の一つに“IgA腎症難病情報センター | IgA腎症(指定難病66)という病気があります。詳しくは調べていただければ分かると思うのですが、難病かつ進行性の病気であるゆえに、早期の診断・治療を必要とします。

IgA腎症の診断を確定させるにはどうしても腎生検という検査が必要になります。これは、腎臓に針を刺し、組織を採って調べるというものです。

 

私は結局、県外の病院に一週間ほど入院しました。病棟には私と同じくらいの若い人も多く入院していたのがかなり意外でした。腎臓病は(特にIgA腎症は)10代の患者も多いようです。

 

 朝起きると病室には看護師がやって来ており、まず血圧や体温などの計測が一斉に行われます。トイレに行って、紙コップに尿を採り、測定機で量や比重を測ります。その足で別室へ向かい、身長や体重を測ったら朝の計測は終了です。

↓ 尿量測定機。ゴツい
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引用元 http://www.fujikogaku.co.jp/lineup/uro_s/index.html

朝食がベッドへ運ばれてくるので、みんなで食べます。病室によってはベッドについているカーテンを閉めきって全く会話がないところもあるそうなのですが、私の病室は年齢層が低いこともあり、いつもみんなで顔を合わせ、話をしながら食べていました。病院のご飯は味が薄かったりして美味しくないのでは…と心配していましたが、ごく普通の一般的なご飯でした。というか、制限食等ではないので、普通なのは当たり前なのですが。動ける人は、食べ終わった食器を廊下のワゴンまで自分で運びます。

 昼食まで、自由時間です。指定された検査を受けたり、院内を散策したり、点滴をしたり、本を読んだり、携帯をいじったり、割と自由に過ごします。

昼食を食べ、再び自由時間です。このあたりで大体シャワーを浴びます。

夕食も同様です。午後10時頃には消灯でした。健康的。

 

腎生検を受けるにあたって、いくつか検査をしました。全部は覚えていないのですが、特に印象的だったものを記録しておきます。

・止血までの時間の計測

耳たぶに針を刺し、ろ紙のようなもので血を拭いながら止血までの時間を計測します。緊張を紛らすために、担当医が最近産まれたという子供の話をしてくれましたが、全く別のことを考えていて、正直そんなに話を聞いていませんでした。申し訳ない。
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・造影CT

生食の点滴、それから造影剤の点滴を打ち(途中で切り替わる)、そこを撮影します。造影剤が広がると温かい感覚を覚えるようで、担当の方に「漏らしたと勘違いして慌てる人もいるけど、大丈夫だから!焦らないでね!」と言われました。実際、生食から造影剤に切り替わった瞬間、点滴から全身に向けてブワッと温かい何かが広がるのを感じました。説明が無かったら確かに焦るだろうな、と感じます。

 レントゲンも撮りました。

検査の前日か当日かには、母と共に個室に呼ばれて腎生検の詳しい方法やリスク等の説明を受けました。

 

当日はなんだか少し慌ただしかったように思います。いつものように検査を一通り終わらせた後、朝食を食べシャワーを浴び、少し早い昼食を食べて検査を待ちます。看護師さん2人が病室へとやってきて、てきぱきと点滴をセットし、尿道カテーテルと尿袋を準備します(術後はしばらくトイレに行くことができないため)。

 

 腎生検の行われる部屋へはストレッチャーと一緒に移動します。傷口が開くのを防ぐため、帰りは歩けないのです。というか立つことすら禁止です。翌日、担当医に許可をもらうまで絶対安静です。

 

ストレッチャーにうつ伏せに寝て、背中~腰にかかる服を捲り上げておきます。それから、腰あたりに消毒液が塗布されます。局所麻酔の注射1(表皮近くへの麻酔?)が打たれ、効いているかどうか尋ねられます。効いていると答えれば、注射2(これもおそらく麻酔)が打たれます。これが割と痛かった。注射1が効き始めていないうちにOKサインを出してしまったのかもしれません。

注射2が十分効いたくらいに、エコーで腎臓の位置の確認が行われ、生検針が入ります。パチン!という音がして、3回ほど腎組織の採取が行われます。ほぼ痛くはありませんが、衝撃はあるのでびっくりします。

↓生研針     ばね式だとか
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引用元http://www.tsklab.co.jp/products/seitai/

腎生検自体は予想していたよりずっとあっけなく終わりました。2時間かかっていないのではと思います。私がそう感じただけかもしれませんが。

 
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術後はこんな感じで様々な機器に繋がれます。まるで重病人です。いや、難病かもしれないし、重病人かもしれないけど。

腰の下には砂袋が敷いてあり、その下に固いクッションが敷かれるという二重構造になっています。腎臓は血の塊のような臓器で、そこにあえて穴を開けているために、傷口から血液が体の内外に漏れ出すことのないよう、厳重に固定されているとのことでした。

一番の山場を乗り越えてほっとしたことに加え、緊張のせいかくたくたに疲れたので、しばらく寝ました。

夕飯の時間になりましたが、起き上がることができないので、夕飯は母に食べさせてもらいました。面会時間が終了し、母が帰ったあと、暇だったのでこの状態で本を読んでいましたが、酸素濃度測定機が重くてすぐに腕が疲れてしまいました。

 ↓酸素濃度測定機。ゴツい

 

寝る前に心電図だか血圧だかの機械と砂袋を外してもらったので、やや身軽になりました。

 

無事に腎生検が終わって一息ついたのもつかの間、本当の地獄(?)はここからでした。

 
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なにしろ数時間同じ姿勢のまま伸ばしっぱなしなのです。普段の生活でこんなに一つの姿勢を取り続けることはないので、痛くなるのは自然なことでした。そこで看護師さんに「脚が痛いので、膝を曲げてもいいですか?」と聞いてみました。しかし、返ってきた答えは「ダメです」。まっすぐ脚を伸ばした状態で保つことで腰部の出血部位を圧迫しているので、ずれると内出血が起こり、非常にややこしいことになるとのことでした。泣く泣く脚を伸ばしたまま耐えていると、今度は腰骨や肩まで痛んできます。

消灯時間になっても痛みは治まりません。というか、同じ姿勢でいるので自然に治まるはずもないのですが。昼間ぐっすり眠ったせいか、寝逃げすることもできません。半泣きになりながら数時間、朝を待ち続けました。

その後、痛みに耐えきれず、結局ナースコールを押してデパスをもらうことになるのですが。よく眠れました。万歳!!!ありがとうデパス!!!

 

同室のおばちゃん曰く、寝た後も私はうなされながら泣いていたそうです。とんだ迷惑をかけました。翌日、安静解除の指示を受けて一番にしたのは、膝を曲げ、起き上がることでした。起き上がることができるって素晴らしい。寝たきりは本当に辛いです。鬱陶しくてたまらなかった管たちも、点滴を除いて全て外されました。

 歩いてみたら、すっかり筋肉が落ちて老人のようになっていました。フラフラです。少し寝たきりの生活を送るだけで人はこんなに歩けなくなるものなのかと驚きました。

 

抗菌薬?を2~3パック点滴し、その後晴れて自由の身となりました。数日間、様子を見たり傷の手当てをする時間が設けられました。

退院の日、久しぶりに外へ出ると病院の近くで桜が咲いていました。少し寄り道をして、桜を満喫しつつ家へと帰りました。